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2003年08月16日(土) 00時00分

ウイルス攻撃、当面回避 週明け注意必要 中日新聞

 新種のコンピューターウイルス「ブラスター」で懸念されていたマイクロソフト(MS)のサーバーに大量のデータを送る地球規模の攻撃は、マイクロソフトがとった対抗策が奏功し、当面回避されたことが専門家の指摘で分かった。

 ハッカー攻撃やウイルス活動を世界規模で常時監視している米インターネット セキュリティ システムズ日本法人(東京)の高橋正和IT企画室長によると、マイクロソフトはウイルスが攻撃対象としていたサーバーに関する一部データを変更し、ウイルスが同サーバーを標的に大量のデータを送ろうとすると、エラーが生じて攻撃できないようにした。総務省も「マイクロソフトが現時点で受けている攻撃は、ネット全体に影響を及ぼすような規模ではない」と説明した。

 政府は、対策を上回る攻撃活動をウイルスが始めた場合に備え、厳戒態勢に入っていた。

 「ブラスター」はマイクロソフトの基本ソフト(OS)の欠陥を突き、ウィンドウズXPや同2000などを搭載したパソコンに侵入。十六日午前零時以降は、MSの欠陥修正ソフト配布用ウェブサイトに感染パソコンから大量のデータを送るよう設定されていた。

 NTTコミュニケーションズやソフトバンク、KDDIなどは攻撃のネットへの影響を食い止めるため、発生源のデータを破棄し封じ込めを図る準備をしていた。

 経産省の外郭団体、情報処理振興事業協会(IPA)への被害届け出件数は、問い合わせを含めると、この四日間で一千件を超え、一昨年猛威を振るったウイルスNimda(ニムダ)の四カ月分を超えるハイペース。

 高橋室長は「ウイルスは簡単に作り替えられるため、警戒は怠れない」と指摘。特に「休暇で自宅に持ち帰ったパソコンを週明けに会社のLAN(構内情報通信網)に接続する際などに感染被害が広がる可能性がある」と注意を呼び掛けている。

◆知らぬ間、加害者に ネット接続で“攻撃参加”

 「ブラスター」に感染したパソコンが、マイクロソフト社に対して仕掛ける破壊活動は「サービス拒否(DoS)攻撃」と呼ばれ、悪質なハッカーが好んで使う手法だ。感染に気付かず、パソコンをネットに接続していると誰もが「悪意なき加害者」になりうる。攻撃目標とするコンピューターに、応答を求める小さなデータを大量に送り付け正常な動作をできなくする。専門家は「そば屋にひっきりなしにいたずら電話をかけて、出前を妨害するようなもの」と言う。

 似た手法だったのが今年一月、韓国を中心に世界中のネット機能をまひさせたウイルス「スラマー」。この時はネット上の基幹コンピューターが感染し、互いに大量の無駄なデータを送り合って混乱を引き起こした。

 今回のブラスターは個人用パソコンに感染するのが大きな違い。お盆休みの間も接続したまま放置されたパソコンが乗っ取られ、使用者本人の知らぬ間に攻撃に「参加」する恐れがある。

◆ブラスター  今年8月11日に米国で発見された新種のコンピューターウイルス。「Blaster(ブラスター)」のほか「LovSan」(ラブサン)「MSブラスト」などと呼ばれる。マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズXP」「同2000」などの欠陥を突き、インターネットに接続しているだけで未対策のパソコンに侵入。感染すると異常終了などの障害が発生、接続された他のパソコンにも感染を広げる。16日以降、感染パソコンからウィンドウズの修正ソフト配布用ウェブサイトに大量のデータを送信、ネットをまひさせる懸念もある。


http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20030816/mng_____sya_____004.shtml