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2003年08月15日(金) 03時19分

<住基ネット>長野県が離脱 都道府県レベルでは初毎日新聞

 田中康夫・長野県知事が、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)から離脱し、県独自で情報管理する方針を固めたことが分かった。「個人情報漏えいの危険が現実化している」というのが理由で、都道府県レベルの離脱は初めて。長野県が離脱しても、県内市町村がネットから切り離されるわけではなく、従来どおりの業務が可能という。しかし、国側との中継役となる県が離脱することで、25日に本格稼働する住基ネットや他の自治体に大きな影響を与えそうだ。

 住基ネットについて、長野県の「本人確認情報保護審議会」が5月、「個人情報保護の態勢が不十分だ」として、当面の離脱を提言し、田中知事の判断が注目されていた。

 住基ネットは25日から、国や県を経由せずに全国の市町村同士がネットワークでつながるが、情報漏えいなどがあった場合は、市町村の管理責任がより一層課されることになる。長野県はこうしたシステムを問題視し、根本から見直しする必要があると判断。県内の市町村から県のサーバーに入った個人情報を総務省の外郭団体「地方自治情報センター」には渡さずに自主管理し、運用する。国や他県の行政機関からの情報提供要請には個別に情報を提供する方針。同県は市町村に現状を説明し、離脱するかどうか判断を求める。

 県幹部によると、現在、県内の22自治体が、住基ネットとインターネットが庁内LAN(構内情報通信網)を通じて接続し、不正アクセスによる情報漏えいの恐れがあるという。県はこの22の自治体のうち複数の自治体と協力し、今月中にネットワークへの侵入実験を行い、情報漏えいの危険性の有無を確認する意向という。

 この22自治体には、一時的に住基ネットとの接続を切り、インターネットと分離するよう要請する。その間はフロッピーディスクなどを使って情報をやり取りする。全国にはインターネットと接続している同様の自治体が約800あり、これら自治体についても、総務省と関係都道府県を通じ、早急にインターネットと分離するよう求める。

 田中知事は「既に800億円も投じた住基ネットが実は、安全性に関して全国の市町村のみが責任を負わされ、総務省は何ら問われないお粗末なシステムであることが判明した。長野県は、総務省の外郭団体に一元管理を委任する形を見直し、個人情報の保護に全力を挙げる」と話している。【西田進一郎】



 住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)から離脱するという長野県の方針は、総務省の外郭団体「地方自治情報センター」(東京都)を頂点として構築されている現行のシステムに異議を唱えるものだ。住基ネットを通じて個人情報が漏えいするのではないかとの懸念が指摘される中、プライバシー保護の重要性を問題提起しているともいえる。

 住基ネットでの都道府県の役割は、市区町村の住民の個人データを一度集約して同センターに送る中継機能を果たしている。長野県の方針はこの中継機能をやめ、自ら個人データを管理することだ。

 もともと現行システムは、法的には長野県を含む全都道府県知事がセンターに住基ネット事務を委任する形を取っている。「地方自治体の共同運用のネットワーク」(片山虎之助総務相)が原則だからだ。背景には、国による国民の個人情報の一元管理だとの批判をかわす狙いがある。

 しかし、実態としてはセンターが一元的に個人情報を管理・運用し、国の行政機関から要請があれば本人確認の照会に対し、氏名、住所、11けたの住民票コードなど6情報を提供している。

 「もともとセンターに委託している業務だから、それを県独自で行えばいい」というのが長野県の判断とみられるが、総務省は全く想定していない事態に直面することになる。

 一方で、独自に情報を管理すれば長野県自身も維持のためのコスト増は避けられない。毎日新聞の6月時点の調査で、同県内の約7割の自治体が離脱に反対する一方で、約3割が個人情報の漏えいに不安があると回答している。県の方針にどれだけの自治体が同調するか注目される。【臺宏士】(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030815-00000108-mai-soci