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2003年08月14日(木) 07時08分

<カルテ改ざん>医療事故裁判に備え実態調査へ毎日新聞

 医療事故問題に取り組む弁護士グループが近く、医師や看護師らによるカルテ改ざんの実態について調査に乗り出す。娘の死をめぐる医療事故裁判で勝訴した福岡県宗像市の医師、久能恒子さん(67)が基金を設立し、全面的にバックアップする。こうした活動は過去に例がなく、診療情報を医師側が独占するため原告に不利とされる医療事故裁判にも、大きな影響を与えるとみられる。

 グループ事務局の岸本達司弁護士(大阪弁護士会)によると、医療事故裁判は長期化する傾向にあり、その要因の一つに被告医師らによるカルテの改ざんがあるという。

 カルテなどの診療情報は原告側が立証するうえで最大の手掛かりとなるが、それが改ざんされると、勝訴は極めて困難になるため、医療事故問題に詳しい石川寛俊弁護士(同)が発起人となって弁護士グループを結成した。

 今月中にも医療事故裁判を担当したことのある全国の弁護士約500人を対象にアンケート調査を実施。裁判の過程で改ざんが確認されたカルテや、その疑いのあるカルテを提出してもらい、プライバシーに配慮しながら詳しく分析する。

 厚生労働省の検討会は今春、カルテを改ざんした医師に対し、医師免許取り消しや停止などの行政処分を盛り込んだ報告書をまとめた。しかし法制化は見送られ、同省の取り組みの実効性を疑問視する声もある。このため、グループは調査結果を基に、超党派の国会議員で作る「医療事故防止議員連盟」(代表・阿部知子衆院議員)とも連携し、罰則規定を盛り込む法案を国会に提出したい考えだ。

 久能さんは92年、三女紹(あき)子さん(当時17歳)を医療事故で亡くし翌年、病院側を提訴。今年6月、病院側に損害請求額のほぼ満額7270万円の支払いを命ずる全面勝訴の判決が出た。カルテの改ざんも争点となったが、判決では触れられなかった。

 久能さんは「紹子の死を生かせれば」と損害賠償金を原資に基金を設立、調査費用などに充ててもらうという。

 久能さんが会長を務める医療事故被害者で作る「医療過誤原告の会」(東京)は91年、会員142人にアンケート調査した結果、カルテの改ざんが認められたとの回答が、全体の46.8%でほぼ半数を占め、改ざんはなかったとする11.3%を大きく上回った。

 カルテ改ざんの主なケースでは、00年3月、名古屋地裁が、治験段階の抗がん剤の使用条件に適合するよう患者の肝機能数値などを書き換えたと認定。02年6月には、東京女子医大の医師が体温や薬の投与量などの書き換えを指示していたとして、証拠隠滅容疑などで警視庁に逮捕されている。【大久保資宏】(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030814-00000132-mai-soci