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2003年08月14日(木) 00時00分

司法書士 “街の法律家”への期待 東京新聞

 司法書士の簡裁代理権付与と簡裁の権限拡大−司法が身近になる条件の一つが整った。弁護士の手が及ばない庶民を救う“街の法律家”として、司法書士は法曹界に風穴をあけてほしい。

 全国に四百三十八ある簡易裁判所は、刑が罰金以下の軽微な刑事事件と、比較的簡単で低額の民事訴訟を扱っている。

 昨年の民事事件百九十五万件の九割が、原告・被告双方に代理人がなく、法律の素人同士で争う本人訴訟だった。二万人弱の弁護士だけでは簡裁事件に対応しきれないうえ、高額の報酬を期待できない簡裁事件を弁護士が敬遠するからである。

 なるべく多くの人が法律家の支援を受け「法の支配」を確立するために、司法書士が簡裁民事訴訟の代理人をできることとなった。

 司法書士は不動産、法人などの登記手続き専門家として知られているが、国家試験に合格し、弁護士に準じる法律家の地位を認められた人々である。法的素養も豊かで、法律相談や訴訟代理に近い活動をしている人も少なくない。

 一万七千五百人、過疎地にもいることが庶民には心強い。管内に弁護士事務所がある簡裁は66%だが、司法書士は99%の区域にいる。

 先月末、第一回の特別研修を経て代理権を認定された約三千人の中にも無弁護士地帯といわれる北海道女満別町、鹿児島県西之表市で活動する司法書士がいる。今後、もっと多くが研修、認定を受け、身近な法律家として名乗りをあげてほしい。

 簡裁の事物管轄も改められ、これまで九十万円以下の事件しか扱えなかったが百四十万円以下となった。遠くの地方裁判所では面倒だし費用倒れになる恐れがあるが近くの簡裁なら、と泣き寝入りをやめて裁判に訴える人が増えるだろう。

 司法書士は埋もれた事件を積極的に掘り起こし、法の光を社会の隅々まで当てることが期待される。

 簡裁代理権付与も事物管轄引き上げも、弁護士の間にかなりの抵抗があった。自分たちがろくに見向きもしなかった簡裁事件への司法書士参入を阻もうとしたのは、既得権を守るためのエゴと批判されても仕方あるまい。司法書士の能力を云々(うんぬん)して「利用者のためにならない」などと主張したのは“おためごかし”と言わざるを得ない。

 司法書士は実績をもって弁護士に反論しなければならない。市民にとって欠かせない法律家であるとの気概を持って新たな業務に臨むとともに、そのために必要な法的知識、技術を絶え間なく磨いてもらいたい。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20030814/col_____sha_____003.shtml