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2003年08月13日(水) 10時23分

<住基ネット>南風原町の審査会答申「中止・削除は困難」琉球新報

 【南風原】南風原町内に住む男性が住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)への個人情報提供の中止と削除を町に求めたが拒否され、不服申し立てをしていた問題で、城間俊安町長から諮問を受けていた町情報公開及び個人情報保護審査会(会長・永吉盛元弁護士)は12日、町役場で答申した。答申は、情報が既に地方自治情報センターなどに送信済みのため、町長が中止・削除することは現実的に困難として、町の請求拒否の措置を事実上追認する内容となった。
 県内では同様の不服申し立てが那覇市、浦添市、西原町でも行われているが、審査会の答申が出されるのは初めて。答申ではプライバシー保護に関する法制度の不備も指摘、申立人の不安に理解を示している。
 南風原町では昨年、男性が「住基ネット本人確認情報」の提供中止と削除を町に請求。しかし町は中止・削除をしないとする決定を下したため、男性は12月に町個人情報保護条例に基づき不服申し立てをした。審査会では6回に渡り審議を重ねた。
 答申内容について説明した永吉会長は「審査会としては直接答えることは困難で、見解にとどめる」と前置き。その上で「情報は既に地方自治情報センターのデータベースに記録されており、関係機関との協議なしに町長だけの判断で中止・削除をするのは不可能」と指摘した。一方、「しっかりとした法制度が確立されていない現状では、申立人のプライバシー保護に対する不安は理解できる」としている。
 さらに答申では、町長に対し「住基ネットを通じて個人情報が外部に漏れ、滅失棄損されたり、民間に利用されたりするなど、町民の抱く不安が現実のものとならないよう努めなければならない」と求めている。
 答申を受けた城間町長は「内容を十分に検討して、慎重に対応したい」と語った。
 25日には住基ネットが本格稼働するが、町決定を申立人に通知する時期は未定。

◇もっと踏み込んだ対応を/町に具体策求める
 25日に本格稼働する住民基本台帳ネットワーク。「私の情報を外部に出さないで」と訴える住民からの不服申し立てに対し、12日南風原町で県内初の答申が出た。町の処分を追認しつつも、住基ネットの問題点と行政の対応を指摘した答申内容。市民団体からは「もっと踏み込んだ対応をしてほしかった」「住基ネットに疑問を持った内容だ」との声が上がった。申立人からは「町長は削除要求の道を模索してほしい」と、住民の個人情報を預かる首長に対して具体策を求めた。
 同町に住む申立人の男性(56)は答申に対し「一定程度私の主張は受け入れられている。町に削除が実現するよう努力を促す内容だと受け止めている」とした上で、「町はプライバシーや人権の侵害にも当たる住基ネットの問題点に対する認識が薄い。町長は国に削除を要求する道を模索してほしい」と求めた。
 住基ネットに反対する市民ネットワーク沖縄代表の上江洲由美子さんは、審査会答申に「物足りなさが残る。『住基ネット接続が住民のプライバシー権を侵害する恐れがある』と認めているのだから、もっと踏み込んだ対応を求めてほしかった」とした上で、「個人情報保護に対する町民の不安があるのだから、町長は国に断固削除を要求してほしい。自治体からの削除要求が増えれば総務省も対応せざるを得なくなる」と町長の決断を求めた。
 東京で住基ネットの問題点に取り組む市民団体プライバシーアクション代表の白石孝さんは「内容は肯定的、否定的とも読めるが、今まで門前払いの審査会が多い中で、委員が住基ネットに対して疑問を持っていることが分かる内容だ。県内の個人情報保護条例制定の取り組みが遅れ、その付けが出ていることまで言及した。いろんな問題点を指摘した内容だ」と好意的に受け止めた。

     ◇     ◇
 住民基本台帳ネットワーク 住民票コード、氏名、生年月日、性別、住所、これらの変更履歴の計6情報を、市区町村から都道府県を通して国の地方自治情報センターのデータベースに蓄積。8月25日からは住民票の広域交付や希望者へのICカードの交付も始まる。(琉球新報)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030813-00000014-ryu-oki