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2003年08月11日(月) 15時06分

<ヤミ金融>五菱会本部ビル、ヤミ金収益で新築か毎日新聞

 ヤミ金融による巨額の収益が流れたとみられる指定暴力団山口組五菱会の本部ビルは、新築だった。警視庁などの合同捜査本部と静岡県警が11日、出資法違反(高金利)容疑で家宅捜索に着手した同会本部。7月に完成したビルは、静岡市清水庵原町の新興住宅地でもひときわ目立つ存在だ。捜査本部は、ヤミ金の収益がビル建築に使われた疑いがあるとみて、押収資料を分析し、資金の使途解明を進める。

 五菱会本部は3階建て。白壁の堅固な建物だ。玄関脇の壁には「五菱会本部」と金文字が浮き彫りになった看板がある。建物本体は完成したものの、コンクリートの外塀はまだ工事中だ。85年に建てられた前身の「美尾組」のビルは、新しいビルの完成を待って取り壊され、駐車場になっていた。

 近所の人によると、ビルの建築工事が始まったのは、今年に入ってからという。捜査本部は、五菱会系ヤミ金組織の収益増加に伴い、億単位の資金をビル新築などに回した疑いがあるとみている。

 警察当局によると、五菱会は昨年10月5日、美尾組組長が病気で引退したのを機に、傘下の3次団体「陣内組」組長だった高木康男会長が地盤を引き継ぐ形で結成した。高木会長が2次団体トップへの昇格を認められたのは、陣内組時代にヤミ金融で得た豊富な資金力で山口組総本部の信頼を得たためと、捜査本部はみている。

 五菱会の名称も、「五代目山口組」の「五」と山口組の紋章「山菱」にちなんで、渡辺芳則組長が自ら命名したと言われている。

 五菱会は傘下に約80の3次団体を抱え、同県内だけでも約200人の組員がいる。傘下組織の大半が、ヤミ金融など貸金業を手がけているという。【田中義宏、小松雄介】

 ◇暴力団資金封じへ=解説

 警視庁などの合同捜査本部が山口組五菱会本部を出資法違反(高金利)容疑で初めて家宅捜索するまでに、ほぼ1年にわたる捜査が必要だった。全国に散らばる多数の被害者の聴取に加え、暴力団関与の裏付けという二つのハードルがあったためだ。関係者は報復を恐れ、ヤミ金と暴力団を結び付ける証言は思うように得られなかった。暴力団側も、自らの関与が当局に漏れないようさまざまな工作をしていた。

 五菱会の名が浮上したのは昨年9月。広島県警が東京都内のヤミ金融業者を摘発した際、業者グループを経営していたのが同会系組長だった。組長は名簿業者から購入したリストで傘下の複数店舗に全国の多重債務者を勧誘させ、貸し付けていた。捜査の結果、同会系ヤミ金グループが他にもあることが分かり、統括する梶山進容疑者(53)の存在が浮上した。

 梶山容疑者ら幹部は顧客を直接相手にせず、違法な取り立てを行う「実行部隊」の店長や従業員には就職情報誌で募った若者を採用した。中堅幹部にも同会の関与を厳しく口止めしていた。

 しかし、地道な捜査の積み重ねと押収資料の分析で、捜査本部は同会の事実上ナンバー2である梶山容疑者を指名手配するとともに、ヤミ金グループ「TO」社長、松崎敏和容疑者(34)を逮捕し、同会本部の強制捜査にこぎつけた。

 今後、資金の流れをさらに捜査し、同会から山口組に上納されたヤミ金収益の解明を図る方針だ。数百億円規模に上るとみられるヤミ金事件の摘発は、暴力団の資金源を封じるという重要な意味もまた持っている。

【田中義宏】(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030811-00001070-mai-soci