2003年08月05日(火) 07時10分

＜詐欺＞病院グループが診療報酬不正受給　元広島県議を逮捕へ（毎日新聞）

　広島市を中心とする病院グループが、病院理事（当時）を系列の診療所に架空入院させて、六百数十万円の診療報酬を不正に受給していた疑いが強まり、広島県警捜査２課と広島西署は、病院グループの実質的な経営者だった元広島県議（５８）＝公選法違反罪で服役中＝を５日にも詐欺容疑で逮捕する方針を固めた。不正受給額は数千万円に上る見通し。

　調べでは、元県議は９６年から９９年にかけ、グループ傘下の病院理事（当時）の男性が、実際には入院していないにもかかわらず、広島市内の診療所に入院したように装い、診療報酬明細書（レセプト）を作成。同県社会保険診療報酬支払基金から六百数十万円の診療報酬をだまし取った疑いが強まっている。

　９９年、診療報酬を不正受給したとして、元病院職員らが元県議を広島西署に告発。同捜査２課などは先月１６日、元県議を名古屋刑務所から広島拘置所に移送。逮捕状を取って事情を聴いていたが、容疑が固まったため、逮捕する方針を固めた。

　病院グループの系列の医療関連会社は、大阪市内の路上生活者を同県内に来るよう誘い、無料で入院させて診療報酬約１２００万円をだまし取ったとして、今年３月に告発されている。この件でも捜査２課などは、元県議を取り調べる方針。

　大阪市内で野宿者の支援を進めている「釜ケ崎パトロールの会」は、路上生活者に対する聞き取り調査の結果、男女約６０人が、最も長期間の人で約２年前から２年間、系列病院、診療所に無料で入院していたとみている。入院者の中には、月５０００円の「手当」を受け取っていた人もいたという。

　元県議は県議を１期務めた後、立候補した８７年の広島市長選をめぐり、当時の同市長の公用車に車をぶつけさせたとして、公選法違反罪に問われ、９９年、懲役４年の実刑が確定した。【遠藤孝康】（毎日新聞）

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030805-00000131-mai-soci