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2003年08月05日(火) 00時00分

“愛の手帳”でJ—フォン買えず 知的障害者団体『差別』と反発 東京新聞

 携帯電話会社のJ−フォン(東京都港区)が、知的障害者から「療育手帳」を提示されれば携帯電話を販売するとしていた内規を四月から変更し、療育手帳だけでは購入できなくなっていたことが、四日分かった。同社は「差別的意図はない」としているが、福祉関係者らは「明らかな差別で極めて残念」とショックを受けている。

 社会福祉法人「原町成年寮」のグループホーム「東日暮里さんま寮」(荒川区)に住んでいる知的障害者の会社員男性(29)は七月中旬、地元のJ−フォンショップで「愛の手帳」(東京都療育手帳)を見せて携帯電話購入の契約をしたが、その後、J−フォン登録センターの意向として、携帯電話の引き渡しを拒まれた。

 従来、「愛の手帳」のみでJ−フォンの携帯を買った知的障害者が何人もいるため、原町成年寮の世話人、川島孝浩さんがただしたところ、登録センターに「それは昔の話で、(今は愛の手帳に加え)運転免許証かパスポートも必要」と言われたという。

 J−フォン広報部によると、同社は三月末まで九地域の内規が別々で、関東・甲信地方など七地域は運転免許証、学生証、身体障害者手帳などと並び療育手帳も本人確認書類として認めていた。東海地域と東北・新潟地域は認めていなかった。

 しかし、四月一日付で内規を一本化した際、(1)自治体ごとに療育手帳のデザインが異なり、販売店がとまどう(2)手帳の保有者があまりいない(3)知的障害者も健康保険証と住民票の提示で購入可能なので差別にならない−などを理由に除外した。

 これに対し、福祉関係者は(1)デザインのばらつきが大きい学生証は除外していない(2)身体障害者手帳を認め、療育手帳を認めないのは差別(3)療育手帳は住所・氏名・生年月日・顔写真つきで本人確認機能が高い(4)療育手帳を認めている携帯電話会社もある—などと反発を強めている。川島さんも「内規変更じたい納得できないが、変更したなら公表すべきだ。知的障害者は差別感に打ちひしがれている」と訴える。

 J−フォンの購入をあきらめた男性は、近くのNTTドコモ店に行ったところ、愛の手帳だけで携帯電話が買えたという。

 携帯電話事業を所管する総務省は「J−フォンに確認したところ、療育手帳の扱いの見直しに前向きなので、見直すのを見守りたい」としている。

 厚生労働省の話 厚労省には、民間事業者の顧客取り扱いについて指導する権限はないが、本人確認機能の面で、療育手帳も、身体障害者手帳と同等に取り扱われることが望ましい。

<メモ>

 療育手帳 知的障害者がさまざまな措置を受けやすくする目的で発行されている手帳。児童相談所や知的障害者更生相談所で知的障害と判定された人が、都道府県知事や政令指定都市の市長から交付を受ける。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20030805/mng_____sya_____009.shtml