2003年08月05日(火) 22時25分

＜宮崎日日新聞＞ハムでキツネおびき出す　「不適切」と認める（毎日新聞）

　宮崎日日新聞社（本社・宮崎市）が００年１０月、宮崎県の天然記念物・アカウミガメの卵がキツネに食べられる被害を報じた際、取材した記者が写真撮影のためにキツネをえさでおびき寄せていたことが５日わかった。同社は「取材に不適切な点があった」と事実関係を認めた。

　記事は００年１０月８日付。「キツネの子育て　海岸は最適　カメの卵を狙う　珍しい生態キャッチ」の見出しで、同県佐土原町の海岸の産卵場所にキツネが近づく様子などを写真６枚を使って掲載した。本文は７月２０日に撮影を始め「あきらめかけた八月二十七日、好奇心の強い子ギツネがカメラを興味深そうに見ている姿の撮影に成功。そして、九月一日には目標だった雌の親ギツネを撮ることができた」と撮影の経緯に触れている。

　同社によると、取材したのは写真部デスク（当時）を含む部員４人。取材開始後、キツネが姿を現さなかったため、８月中旬以降、指先程度の大きさに切ったハムをセンサー付きカメラの前に埋めた。

　同社はこの事実に気づいていなかったが、別の報道機関が４日、「取材方法に問題があるのではないか」と指摘する読者の投書を同社に提示、発覚した。同町などによると、記事が掲載された当時、野生のキツネがふ化直前のカメの卵を食べる被害は実際にあったという。同社の勝部一之編集局次長は「再発防止に向け調査委員会を設置した。今月中に記者から事情を聞き、検証した上で読者に報告したい」と話している。【谷本仁美】（毎日新聞）

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030806-00000075-mai-soci