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2003年08月04日(月) 00時00分

し烈、品川ホテル競争 新幹線新駅で乗客増 チャンス到来 10月1日に新幹線駅が開業するJR品川駅。右のビル群は品川グランドコモンズ=本社ヘリ「おおづる」から 東京新聞

 ここ数年で高層ビルやマンションが次々と建ち、日本有数の企業が進出するなど、変ぼうするJR品川駅東口。十月一日の東海道新幹線の新駅開業をきっかけに新駅をはさんだ西口側のプリンスホテルなど有名ホテルがサービス拡大に乗り出し、“品川ホテル戦争”の様相を呈してきた。五月に東口エリアにオープンした全日空ホテル系の「ストリングスホテル東京」が競争の口火を切った形で、急成長する同エリアが城南地域の活性化を呼び込んだといえる。内外の主要都市を見てきたストリングスホテル東京の総支配人安徳勝憲(あんとく・かつのり)さん(58)に品川駅東口の将来性について聞き、各ホテル間の戦略をまとめた。

 「大きな動き(新幹線品川新駅)に誘発され、街が変わるのに一世代(数十年)かかるのが、ここは十年で激変した。交通の要所として発展した米国シカゴに似ている」。品川駅東口の印象を、安徳さんはこう話す。

 十年前は高層ビルがなかったが、旧国鉄用地が民間売却されたのを機に、一九九八年に巨大オフィスビル群の品川インターシティ(約三・五ヘクタール)ができ、今春ストリングスホテルが入る品川グランドコモンズ(約五・三ヘクタール)が誕生した。

 これらのビルには、三菱自動車やキヤノン販売など大企業の本社がずらりと並び、三万人以上が働いている。宿場町の歴史を持つ庶民的な雰囲気から一変、ビジネス街に生まれ変わりつつある。

 さらに品川駅に来春、商業施設を伴うJR東日本ビルが完成するほか、周囲でもオフィスビルが続々と建設中だ。

 京浜急行の品川−羽田空港間も七月から二分短縮して十四分に。品川新駅完成後は、さらに新幹線の増便とスピードアップが計画され、品川は交通網の要所としてより利便性が飛躍的に増すのは確実だ。

 安徳さんはマニラ、シンガポール、ロンドン、沖縄の各ホテルなどに勤務し、世界主要都市の街づくりに詳しい。その目には、品川駅東口の今後がどう映っているのか。

 「ビジネス面では、全国から新幹線や飛行機で集まりやすい地の利を生かし、全社的な会議や学会が集中し、高度な情報交換が行われるはずだ」

 「高級マンションも続々と建設され、購買力の高い(富裕層の)住民が増えるだろう。それを見込んだ商業施設も発達し集積度を高める。渋谷・新宿方面の人が新幹線や羽田空港の利用で増加が見込まれ、品川が滞在の基点になる」−と分析。

 大きなレジャー施設が少ない点も「品川の街の性格から美術館やコンサートホールなどの文化施設が求められ、新宿や渋谷とは異なる新しいタイプの街として発展していくと思う」と予測する。

 ストリングスホテルは、品川イーストワンタワーの二十六−三十二階に計二百六室。料金はシングルで一泊三万三千−十八万五千円と高めで、従来の品川駅東口地区ではあり得ない設定だ。

 高級戦略について安徳さんは「現在の客室稼働率は平日は六割程度だが、新幹線の新駅開業や増便効果で伸びが十分期待できる。これまでの感覚では品川の潜在力を見誤る。現在の品川をもとに判断すべきだ」と強調、東京有数のビジネスゾーンに“大化け”する可能性があるとみる。

 ■高級化や法人営業強化…

 新幹線新駅開業に伴う乗降客増を見込んで、品川駅西口側の各ホテルは部屋を改装したり、ビジネスマン向けの新サービスを始めるなど利用客争奪戦に勝ち抜こうと躍起になっている。

 品川駅西口から南側の「御殿山ヒルズ・ホテルラフォーレ東京」は、十月までに一般客室五十七室をスイートルームに次ぐ高級クラスに改装中だ。遠藤信幸総支配人は「ややハイクラスの人をターゲットにしたい。国際的なビジネスマンに満足してもらえるよう、仕事用の机やソファなどを充実させた」と力を込める。

 同様に「品川プリンスホテル」は、多忙なビジネスマンを対象に五−七時間に限定した客室活用を始めた。ツインルームで五千五百円。早朝、昼間、夕方、深夜の四パターンから好きな時間帯を選ぶ。仮眠や始発列車を待つのに便利そうだ。昨年には映画館など娯楽施設を充実させた。

 「高輪プリンスホテル」も五十時間で、最大五泊利用できるプラン(シングル六万円)を開始。

 「ホテルパシフィック東京」は、研修会や企業の会合を見込んで法人営業に力を入れる。親類や友人を呼びやすくなるため結婚式場部門にも期待を掛け、「十一月の申込件数は前年比10%増」と手応えを感じている。

 文・沢田一朗/写真・久野功/紙面構成・石田嘉隆

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