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2003年08月04日(月) 14時38分

万引き監視など防犯システム、コスト負担が論議に読売新聞

 万引きや窃盗などの身近な犯罪を防ぐ防犯装置の開発が進んでいる。電波や半導体を使った万引き監視システムや、携帯電話の通信機能を応用した警報装置……。だが一般の小売店が、こうした装置を導入するには負担が大きく、普及は進んでいない。

 このため小売店の業界が、メーカー側に、商品の製造段階で万引きを感知する特殊な電子部品を組み込むよう求めるなどの動きも出ている。

 ◆年間1億円を超える被害も

 岐阜市にある「三洋堂書店領下店」。今年4月上旬、店から出た1人の少年が警備員の制止を振り切って逃走した。現場に投げ捨てられたリュックには、万引きされたコミック本が30冊も詰まっていた。

 三洋堂書店は名古屋を中心に70店舗を展開しているが、万引きによる年間の被害額はここ数年、1億3000万—1億6000万円台に上る。

 このため同書店は、今年から電波を使った万引き監視システムを導入。領下店には今年6月に設置され、明らかに万引き被害は減っているという。

 このシステムは、電波を出すタグ(商品につける札)を書籍に取り付け、レジを通さずに持ち出すと、警告音が鳴る仕組み。費用は総額で7000万円を超えるが、売り場の本に一つずつタグを取り付ける労力も大きな負担になった。

 ◆小規模店は負担に悲鳴

 万引きの急増に悩む書店業界で、こうしたシステムを導入しているのは、三洋堂書店のような大規模店がほとんど。中小の書店は経済的負担が大きく、一昨年には業界の有志が、大手出版社数社に「出版段階で本にタグを取り付けてほしい」と要請した。

 これを受け、出版社側も、書籍の背表紙などに組み込むことが出来る超小型のIC(半導体集積回路)タグを導入できないか検討を始めた。このICタグは、0・数ミリ角の大きさで、回収した書籍がどの書店で盗まれたかも確認できる。

 だが、その価格は1個50円前後。出版関連団体の「ICタグ研究委員会」で責任者を務める集英社の奥脇三雄・雑誌販売部長は「定価410円のコミック本には高すぎる」と指摘し、ICタグを開発しているメーカーも「10円以下にしなければ普及しない」とみる。

 一方、日本チェーンドラッグストア協会も、メーカー側に、薬や化粧品の製造段階でタグを取り付けるよう働きかけているが、ある大手メーカーは「その負担を、メーカーだけがかぶるべきなのか」と主張するなど、結論は出ていない。

 ◆自治体予算でシステム導入例も

 秋田県警では5月下旬、本部長が直接、県知事に掛け合って約210万円の補正予算を確保した。この夏から県内30か所に、清涼飲料水などの自動販売機用の最新の警報装置を配備するためだ。この装置は、自販機が荒らされると、内部に仕掛けた携帯電話が自動的に警察につながり、犯行の物音を伝えるシステム。

 同県内の自販機荒らしは1998年から昨年まで年間800—1200件前後で、昨年は40%を摘発したが、警察の手薄な地域で犯行を繰り返されると摘発が困難になるため、装置の導入を急いだという。

 ただ、全国に550万台あると推定されている自動販売機すべてに、こうした装置が付けられる見通しは立っていない。ある自販機所有会社の幹部は「『被害にあったらあきらめる』と盗難保険すらかけない会社もある。最新の警報装置を普及させることができるほど余力のある会社は多くはない」と打ち明ける。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030804-00000305-yom-soci