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金融業者が社名の一部に有名企業の名前を使ってグループ会社を装い、ダイレクトメール（ＤＭ）などで融資を勧誘する動きが、全国で相次いでいる。会社マークも有名企業そっくりの場合もあり、トラブルとなるケースも出ている。名前やマークを使われた企業だけでなく、金融庁もホームページでリストを公表して注意を呼び掛けている。
北九州市内の自営業者（６４）は６月、社名の一部に大手電機メーカーの富士通の名前が入った業者からＤＭを受け取った。印刷されたマークも富士通そっくり。
手紙には「当社富士通グループでは、新たに消費者の方々向けのファイナンシャルサービスを発足させる運びとなりました」と書いてあり、富士通の関連会社のような印象を与えている。しかし、会社の所在地の記載はなく、問い合わせ先の電話番号だけ記してあった。
自営業者が電話で問い合わせたところ、「口座を確認したい」と言われ、住所や口座番号、携帯電話番号、家族構成などを伝えた。直後に１万円が振り込まれ、電話で「２万円にして戻せば希望の額を融資する」と言われた。
自営業者が１万円を返金すると、「利子を払え」と怒鳴られた。その後、別の業者からも融資を持ち掛ける電話がかかり始めた。男性は「関連会社と思って信用してしまった。個人データをほかの業者にも流したのではないか」と話す。
この業者を巡っては、主に今年に入ってから、山形や宮崎など１府８県の消費生活センターに１４件の相談が寄せられた。富士通本社にも５月ごろから問い合わせが相次いだ。同社広報ＩＲ室は「当社とは一切関係なく、弁護士や捜査当局に相談して対応を検討している」という。
金融庁や各企業によると、富士通以外にもまぎらわしい社名やマークを使われているケースが相次いでおり、ＤＭなどでグループ会社を装って融資を誘う手口は共通している。
富士通以外では「ソニー」「みずほ」「ヤンマー」「三菱」などの名が使われており、社名の後ろに「信販」「ファイナンス」「トラディショナル」などが付く例が多いという。(08/04 11:45)