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2003年08月02日(土) 14時39分

おれおれ詐欺巧妙化、「TVで見たのに…」被害読売新聞

 息子や孫を装い、「おれだよ、おれ」と電話をかけ、お年寄りから現金をだまし取る「おれおれ詐欺」事件。警視庁などによる犯人グループの摘発も相次いでいる一方、次々と模倣犯が現れ被害は依然なくならない。7月には、「おれおれ詐欺」の手口をテレビで見て警戒していた女性も被害に遭ってしまった。

 東京都内の女性(81)宅の居間の電話が鳴った。午後2時半ころだった。男はこう切り出した。「おれだよ、おれだよ」

 女性は東北地方に住む長女の息子(27)だと思った。「ジュン(仮名)かい?」。男は「そうだよ、ジュンだよ」と答え、こう続けた。「誰にも言わないでほしいんだけど、酔っぱらって、けんかをして相手にけがをさせたので、急きょお金が必要になった。30万円貸して」

 この孫とは1か月前、親族の法要で会ったばかりだった。声の調子が違うし、酒を飲んで暴れるような孫でもない。ちょっとおかしいと感じた。しかし、「トラブルで寝ていないので声がおかしいんだよ」「仕事は午前中で早退した」と重ねて懇願され、疑念は消えた。「孫が頼ってきている、助けるために何とかしなければ」。困っている孫の顔も浮かんだ。

 「今日中に振り込んで。3時になったら銀行が閉まっちゃう」とせかされ、口座番号を慌ててメモした。「相手に払ったら、すぐ連絡する。借りたお礼にきょう、泊まりに行くよ」と告げられ、電話は切れた。

 振り込みは、近くに住む長男(54)に頼んだ。長男は、おいからの電話を不審に思ったが、銀行閉店の時間が迫っていたため、近くの銀行で30万円を振り込んだ。その後、孫からの連絡がなく、だまされたと知ったのは、夜になってからだった。

 女性は以前、おれおれ詐欺の手口を紹介したテレビ番組を見たことがあった。「気を付けなければ」。その時は自分に言い聞かせたが、いきなりかかってきた電話に、冷静な対応ができなかったという。

 事件当夜、警察に被害を届けた際、その口座が同様事件の振込先になっていたことを伝えられた。長男は「警察は、口座が事件に使われていると判明した時点で、即座に金融機関に口座停止などの措置を依頼すべきだ」と訴える。女性は、詐取金の返還を銀行に求めているが、戻ってくるメドはまだ立たないという。

 ◆「わたし わたし」「やくざに脅された」「入院で金必要」…被害止まらず◆

 急増している「おれおれ詐欺」のだまし文句は実に様々だ。当初は、交通事故の示談金名目というのが主流だったが、その後、「やくざに脅されて、金を振り込まないと解放してもらえない」「会社から借りた金を返さないと大変なことになる」「入院して急にお金が必要になった」など次々と“理由”が発案されている。

 また「おれ、おれ」だけでなく、「わたし、わたし」と女性が電話してくるケースも現れた。岐阜県で先月、「わたし、わたし」と若い女性が孫を装って電話をかけ、「妊娠中絶費用が必要になった」と言って、お年寄り2人から計75万円をだまし取る事件も起きた。

 警視庁によると、東京都内だけで、今年に入ってから「おれおれ詐欺」事件は約300件、被害総額約2億2000万円。警視庁は、2つの詐欺グループ計17人を逮捕したが、その後も約130件、計約9000万円もの被害が出ており、模倣犯も多い。神奈川、静岡、長野、山形県などでも被害は確認されており、警察で注意を呼びかけている。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030802-00000106-yom-soci