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2003年08月01日(金) 00時00分

規格外有機野菜、流通で成長の芽途中から太くなっているもの、曲がったもの、傷があるもの……。規格外のキュウリ。奥のタマネギも、小さすぎるとして「規格外」=筑後市新溝の「ヤマゴ食品」で朝日新聞・

 有機野菜が欲しい。でも、高い。値段が勝負の外食産業では、なかなか手が出せない。そこで、注目され始めたのが、ちょっと見てくれが悪い「規格外野菜」。これまでは商品と見なされずにいたが、食の安全志向が高まり、「安全性や味は同じで割安」と話題に。有機農業を元気づけることにもなると、生産者も歓迎している。
(星井麻紀)

 真ん中辺りから、急に太くなっているキュウリ。野球のボールより小さいタマネギ。太い所は直径5センチ以上あるニンジン……。福岡県筑後市の「ヤマゴ食品」。福岡・天神のデパートやスーパーで、弁当や総菜を販売する同社の工場に運び込まれる野菜の姿は、どれもスーパーに並ぶものとちょっと違う。「有機野菜ですが、形が悪いので規格外と呼ばれ、売り物にならないんですよ」と同社の中山博友会長はいう。

 「規格」と言っても、決まった数値はない。大きさ、傷、虫食いなどを生産者がチェックして、より分けるだけだ。値段は通常の半値程度。二股のゴボウや大根、背が高くなり過ぎたホウレンソウも「規格外」。タマネギでは収穫量の2割弱、ジャガイモは3割弱が規格から外れている。

●生産者も歓迎

 「弁当や総菜は、値段が高かったら誰も買わない。でも、食べたら健康になるようなものを出したかった」と中山会長。10年ほど前、健康に関する勉強会で、添加物の毒性の話を聞いた。帰って自社の弁当の原材料欄を調べると、「体に悪いものばかり」。衛生管理を徹底し、添加物をやめ、素材も安全なものに変える中で、有機野菜を使いたくなった。

 農薬や化学肥料を使わないで栽培する有機野菜は、除草や病害虫の駆除に手間がかかる。値段も普通の野菜に比べ割高なことが多く、製品の価格に響くため、企業が採り入れるのは難しい。なんとかならないかと、農家を訪ね歩いて知ったのが「規格外野菜」だった。

 「これまでは近所に配ったり、肥料として畑にすき込んだりしていた。助かります」と、ヤマゴ食品に今年から規格外野菜を供給し始めた「九州有機の里」(熊本市)の蓑田友宏社長。

 同社は熊本県を中心に、50軒ほどの有機栽培農家を束ねる出荷元。主に個人向けの自然食品宅配会社や生協など、家庭で消費する野菜を出してきた。しかし昨年から取引先を通じ、料理店や外食産業など企業の問い合わせが増えた。どこも目当ては「規格外」だ。

●「健康が重要」

 この秋、福岡・天神に野菜料理の店を計画している日本料理店「てら岡」は、メニューの柱に有機野菜を据える。寺岡直彦社長は「安くておいしいのは当たり前の時代。これからはさらに『健康』が重要。生産者がこだわりを持って作った野菜なら、このすべてで勝負できる」と「規格外」の採り入れに積極的だ。

 こうした動きに蓑田さんは「規格外野菜は、あくまで副産物。有機農業全体に関心を持ってもらえるようになれば」と期待する。

 「ニッポン東京スローフード協会」設立発起人で食環境ジャーナリストの金丸弘美さんによると、日本では形が悪いと流通に乗らないが、海外では素材本位で格好は二の次。「ようやく日本でも、農家の直売所が盛況になるなど、変化が出てきた。現状を動かすのは消費者。企業もその動きを感じ取り、もっと変わっていってほしい」と話している。(8/1)

http://mytown.asahi.com/fukuoka/news01.asp?kiji=4993