悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2003年07月29日(火) 16時26分

「源泉」なのに実は循環水…“ニセ表示”の温泉7割も読売新聞

 全国に約2万2000ある温泉施設などの約7割で、1度使った湯を殺菌・循環して再利用しているにもかかわらず、「源泉100%」「天然温泉100%」など実態とかけ離れた表示が急増していることが、公正取引委員会の全国調査で分かった。温泉の誇大表示を巡る公的な調査は初めて。

 公取委は今後、特に悪質な宣伝をした温泉施設のほか、旅行会社にも景品表示法違反で排除命令を出す方針だ。

 公取委は今年3月から6月にかけ、全国の温泉施設の表示の実態調査や業界関係者からの聞き取りを進めてきた。その結果、温泉で使われている全国約3000か所の源泉の7割以上が、地下水をポンプでくみ上げており、自然にわき出している温泉は、全体の3割程度に過ぎなかった。また、遠方の源泉からタンクローリーなどで湯を運び、それを殺菌、加熱して循環させる方式が約7割の施設で採用されていたことがわかった。

 根強い温泉ブームの中、1988年の竹下内閣による「ふるさと創生」事業で温泉が三百数十か所増えたことに加え、湯船の大型化が進み、群馬・草津や大分・別府など一部地域を除けば、全国の温泉は慢性的な湯量不足に陥っている。こうしたことから、「最近は湯量を補うために加水するケースもあり、源泉の湯をそのまま使うことはほとんどない」(公取委)状態が一般化しているという。

 さらにこの数年、多くの施設が「源泉100%」「ほんものの温泉」「源泉そのまま」などの言葉を宣伝文句として使い始め、公取委の調査では、敷地内に置いた循環装置を庭木や緑色のシートで隠していたり、湯船からあふれた湯や、せっけん・シャンプーで汚れた湯をすべて循環させたりしている施設も確認された。

 湯の成分や効能は、塩素による殺菌や加熱により変化するとされているが、こうした点もほとんど表示されていなかった。

 一方、公取委は、委嘱している1100人の消費者モニターに対してアンケート調査を実施。モニターの8割が「源泉100%」「天然温泉100%」と表示している温泉を利用したい、と回答。「源泉100%」の表示については8割以上、「天然温泉」では4割以上が、「源泉の成分と湯船の湯の成分は同じ」と受け止めていた。循環装置内ではレジオネラ属菌が繁殖しやすく、温泉施設では利用客の死亡例も出たことで、利用者の湯の質への関心が高まっている。

 こうした調査結果を基に公取委は28、29日、関係団体などに対し、表示の改善を求めるよう要請した。公取委の調査に対し、大手旅行会社は「源泉100%などの宣伝文句に対する公的な定義もなく、温泉などに関する調査表を各施設に送った後に、返送されてきた回答内容を載せるしかない」と話している。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030729-00000006-yom-soci