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2003年07月27日(日) 09時42分

損保に準備金増額要請へ 災害時の保険金巨額化で金融庁朝日新聞

 台風など風水害を中心とした大規模な自然災害が増え、損害保険各社が巨額の保険金の支払いに備えて積み立てている「準備金」が将来、不足する恐れがあるとして、金融庁は損保各社に大幅な積み増しを求める方針を固めた。03年度中の関連法令の改正を目指し、04年度にも実施する。損保業界も対応を急いでおり、保険料の値上げにつながる可能性も出てきた。

 損保各社は、保険料収入の一定割合を責任準備金として積み立てることを義務づけられているが、そのうち、自然災害や大火事などに備える「異常危険準備金」は、損保業界全体で02年3月末現在、8013億円積み立てられている。

 地球温暖化や都市部への人口集中で、自然災害は世界的に大規模化する傾向にあり、日本国内の風水害でも、支払われた保険金の上位の多くがこの10年に集中している。

 損保業界の試算では、過去最大級の台風、伊勢湾台風(59年)と同規模の台風が来て、家屋の損壊や自動車の故障などが大量に発生した場合、損保各社が住宅の火災保険や自動車保険などで支払う保険金は、過去最高だった91年の台風19号を上回り、8000億円を超えるとされる。

 また、利根川水系のはんらんで関東地方の広域に被害が出た場合も、5000億円超の保険金が必要になるとされ、8000億円の積立額は「極めて心もとない」(大手損保)水準だ。

 日本損害保険協会も、17日に金融庁に出した準備金の問題点についての報告書で、「危険準備金が災害の発生リスクにもとづかず、保険料の一定割合で算出しているため、備えとしては十分とはいえない」と指摘した。

 さらに、保険料自由化で値引き競争が激化し、「適正な保険料収入を得ていない会社がある場合、準備金の積み立て不足が発生する」と警告。準備金でまかなえないと、自己資本を取り崩して保険金を払うため、経営難に陥る会社が出る可能性を認めている。

 このため金融庁は、自然災害の発生と被害のリスクを定量的に測定し、準備金への上乗せを義務づけるなどの法令の改正を目指し、金融審議会(首相の諮問機関)に諮ることも検討している。

 リスクの算定方法は、損保業界と金融庁などで詰めることにしているが、業界には「危険準備金は、現在の2〜3倍は必要」という見方がある。大幅な準備金積み増しで、保険料の値上げや各損保の経営に大きな影響が出る可能性がある。

(07/27 03:05)

http://www.asahi.com/business/update/0727/001.html