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2003年07月25日(金) 00時00分

国民年金 屋台骨が揺らいでいる 東京新聞

 国民年金の保険料納付率の大幅な低下は、公的年金全体の屋台骨を揺るがす。未納者への個別収納対策の強化だけではなく、若い世代を中心に強い年金制度への不信感の解消に努めるべきだ。

 ここまで納付率が下がれば、国民皆年金制度は名ばかりではないか。

 厚生労働省が二十四日公表した資料によると、自営業者や学生、フリーターら第一号被保険者が対象である国民年金の昨年度の保険料納付率は62・8%と、前年度の70・9%を大きく下回り、過去最低記録を更新した。

 未納者は、三百二十七万人だが、これに制度自体に加入していない未加入者六十四万人を加えると、空洞化はさらに深刻さを増している。

 第一号被保険者に、厚生年金などに加入するサラリーマン(第二号被保険者)、その配偶者(第三号被保険者)を合わせた公的年金加入者は約七千万人で、国民年金の未納・未加入者はその5%台にすぎない、と厚労省は釈明するが、これは詭弁(きべん)だ。未納・未加入は国民年金に集中しているからである。

 納付率低下の理由として、厚労省が指摘するように、昨年度から保険料の半額免除制度の導入と引き換えに全額免除の基準が厳しくなったことや、リストラなどで第二号被保険者から第一号被保険者に移り、納付が困難になった低所得者が増えたことは確かだろう。

 だが、以前からの未納者に加え、フリーターなどの増加に伴って納付率の低い若年層の第一号被保険者に占める割合が一層増えたことも無視できない。こうした世代には年金制度への不信感が特に強い。

 少子高齢化に伴って今後、保険料のさらなる増加が予想される以上、半額免除にとどまらず、多段階の免除制度などの検討は必要だろう。

 こうした対症療法以上に大切なことは、多少の無理をしても保険料を払う気にさせるだけの年金制度に対する信頼感の醸成である。

 いまのまま推移すれば、国民年金に限らず、厚生年金など被用者保険でも保険料の大幅な増額が避けられず、若年世代の間に不安感が高まっている。それを解消するために、保険料(率)に上限を設けるべきである。

 また、納付された保険料の積立金を保養所の建設など、本来の趣旨からはずれた事業に投入し、赤字を生むようなことは今後、絶対にしてはならない。積立金の運用で赤字を出さないように、運用ルールの見直し、責任の明確化も必要だ。年金制度への不信感の解消のためになすべきことは数多くある。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20030725/col_____sha_____002.shtml