悪のニュース記事

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2003年07月21日(月) 00時00分

長崎事件 都内中1の声 東京新聞

 今、子どもたちに何が起きているのだろうか。長崎市の種元駿ちゃん(4つ)誘拐殺人事件では、なんと中学一年の十二歳少年が犯行に及んだ。警察の調べでは、少年は、駿ちゃんを全裸にして屋上から突き落としたという。十四歳少年(当時)による神戸の連続児童殺傷事件をほうふつさせる猟奇的殺人。しかも、少年は神戸事件より二歳下。果たして、彼だけの問題なのだろうか。長崎事件を通し、東京で同世代の中学一年の男子生徒十五人に思いを語ってもらった。

 あの長崎事件に、少年らは一様に口をそろえた。「おかしいよ、人間じゃないよ」

 下町の足立区と、閑静な世田谷区内で聞いてみたが、「残酷すぎるよ」「どんな理由があろうが、幼児を巻き込むなよ」「万引なら分かるけど」。長崎の少年が育った複雑な家庭環境を考えても、許されるものではないと、同情の余地さえ示さなかった。少年たちの周囲に話を向けると、意外にも長崎の少年との類似点もまた浮かび上がってきた。

 「突然、文句をつけてきたり、けってきたりする危ない同級生は何人かいる」

 足立区の商店街で友人五人といた公立中学のA君(12)は“普通”でない同級生の存在を教えてくれた。

 A君は五人の中ではリーダー格。いじめられるタイプではないように見えた。「あいつらは普段目立たないけど、内心何を考えているか分からない。誰に対しても理由なくキレ、反省しない」

 世田谷区の帰宅途中の公立中学B君(12)も「授業中、突然奇声を上げる男子同級生がいる」。同中のC君(13)も「キャーッと奇声を上げて歩く他校の一年生を見たことがある」。同中D君(12)は「あいつらは、先生の前では違った顔を見せ、受けがいい」

 足立区の祭り会場にいた私立中学のE君(12)は一つ下の年代がおかしいと感じる。「他人の敷地に勝手に入り、ジュースを飲んだりして、やってることがおかしい」

 長崎の少年も普段から奇行が目立ったというが、ここにも同じタイプの少年はいるようだ。

 長崎の少年は、ゲームショップに通いつめていた。取材した男子生徒の半数近くも家庭用のゲームに熱中していた。

 足立区の私立中学のF君(12)は「冒険などのロールプレータイプのゲームは犯罪とは関係ない」と話すが、前述のA君は「格闘とか殺し合いのゲームだったら、影響されてもおかしくない」

 事件では、強い母親と少年との密接な関係や家庭環境も指摘されているが、「母親と一定の距離を置いている」とE君。

 世田谷区の公立中学のG君(12)のように「母親はぼくをいつまでも子どもみたいに扱い、ひっついてくる。一人前として扱ってほしい」という少年もいた。

 逆に接触がなくて不満を言う少年もいた。A君は「母親も父親も共働きで家にいない。休みの日も遊びに連れていってくれない。親より友だちの方が大切」とぼやく。B君は両親に隠し事があるが、内容については「言いたくない」

 少年の異性への倒錯した性欲が事件の根底にあると推測する専門家もいるが、街頭で聞いた男子生徒は少し戸惑いながらも「特に意識したことはない」「バスケットボールの方が興味ある」。

 その一方で、「女子のプールの時間中、ずーっと見ているやつ(男子生徒)がいる。(うまく説明できないけど)視線がどこか異常だと思う」(A君)と、同級生の行動に不気味さを感じるケースもある。一部の少年には、早熟な子もいるが、それをうまく表現できないのかもしれない。

 最後に大人たちについて聞いてみた。「共働きの親は『勉強しろ』と何度も厳しく言うけど、ぼくとちっとも過ごそうとしない」「大人は、きちんと子どもをしかってほしい」

 街頭取材では、時間に制限があったため、深く本音を聞くことは難しかったが、それでも大人への痛烈なサインが見え隠れしていた。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/thatu/20030721/mng_____thatu___000.shtml