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2003年07月19日(土) 00時00分

生保利下げ 消費者は選別の目を 東京新聞

 生命保険の予定利率引き下げを認める法律が成立したことで、契約者は自衛策を迫られる。生保各社の経営内容などについての情報に注意して、場合によっては解約する覚悟も必要だ。

 通常は生保会社の破綻(はたん)前には認められない予定利率の引き下げを可能にする改正保険業法が十八日、参院で可決・成立した。

 予定利率引き下げは、保険金減額などで、生保契約者の老後の生活設計を狂わせる。

 この予定利率は生保の契約の重要な中身だ。これを下げることは、結んだ契約は守らなければならないという近代法の基本原理に反するし、憲法の財産権の侵害に当たるとの見方もある。

 契約者にとって影響が大きく、法的にも問題のある予定利率引き下げを可能にする法律を、金融庁がかなり強引に成立させた背景には、生保各社の経営難がある。

 生保各社がバブル期などに契約者に約束した予定利率に比べ、実際の運用利回りはかなり低く、巨額の逆ざやが生じている。多くの生保会社は死亡率低下や事務経費圧縮などでカバーしているが、一部の生保の経営がかなり苦しいのは事実だ。

 このため、予定利率引き下げを破綻前にも認めて、体力の弱い生保を救済しようというのである。

 とはいえ、生保各社は実施に至らないよう最大限に努力すべきだ。人件費削減や経費圧縮など合理化をさらに徹底する必要がある。

 消費者の方も自衛の努力が必要だが、生保は長期にわたる商品だけに、一律の自衛策はない。

 例えば、予定利率が、引き下げの場合の下限とみられている3%を既に下回っている一九九六年度以降の契約者は、引き下げによる影響は事実上ない。これから生保に加入を考えている人は、「危ない」と思う生保会社は避ければよい。

 複雑なのは、バブル期やそれ以前の予定利率がかなり高い時期の契約者だ。自分の契約している会社が危険だと思っても、他社に乗り換えようとすれば、保険料が高くなるなど不利になりかねない。予定利率下げのリスクと、乗り換えによる不利益とをよく考えなければならない。

 いずれにせよ、消費者は、生保各社の経営内容に関する情報を、会社側のパンフレットやマスメディアなどを通じて積極的に集めて、厳しい選別の目を光らせてほしい。

 生保各社も従来以上に経営内容の情報開示に努めるべきだ。情報開示に不熱心な生保会社は結局、消費者から見放されるだろう。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20030719/col_____sha_____003.shtml