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2003年07月18日(金) 00時00分

渋谷少女、ざわめく心 小6の4人監禁 それぞれの思い 夕暮れ時、学校帰りの子供たちが行き交う渋谷センター街=17日午後、東京都渋谷区の渋谷駅前で 東京新聞

 ショッキングな少女たちの監禁事件。保護された東京都稲城市の小学6年生の女子児童4人は、JR渋谷駅前で男と接触したとされている。日本の「若者の街」の代名詞となっている、大繁華街・渋谷。この街は少女たちにとってそこまで怖いものになってしまったのか。夏休み直前の平日の17日午後、この街を行き交う10代前半の少女たちに聞いた。

 人混みでごった返す渋谷駅前のセンター街。各店舗から、アップビートの音楽がけたたましく流れる中、ナンパ中らしい男性グループや、アンケート中の人々が、通りかかる女性たちに次々と声を掛けている。「スカウト」と呼ばれる男性たちも多い。一人で歩く若い女性に、「かわいいねえ」などとしつこく追いすがり、時に荒々しく行く手を阻んでいた。

 雑踏の中には、学校帰りの少女の姿も目立つ。高校生が多く、中学生や、今回の事件に巻き込まれた女児たちと同じ小学生の姿はかなり少ない。

 学校帰りに豊島区から制服姿で来た中学一年女子(13)は「私は声を掛けられたことはないけど、怖い」。薄く化粧をしている。渋谷にはよく買い物に来るが「親に言うとうるさいので、来ていることは黙っている」。

 大田区の中学二年女子二人組=いずれも(14)=は「今日から学校が休みなので、洋服を買いに来た。月に何回かは来る」。監禁事件について聞くと、「渋谷は好きだから、安全な街にしてほしい」。表情を曇らせた。

 小中学生の少女向けファッションの殿堂として知られるファッションビル「109−(2)」。「自宅学習」という休みを利用して来たという、千代田区の中学一年女子三人組=いずれも(13)=は、オレンジや赤色のミニスカートのカラフルな服装。親からは、今回の事件を受けて「気を付けなさい」と言われたという。「特に怖い経験はしていない。変な人にはついていかないから大丈夫」

 「109−(2)」から出てきた小学六年女児の二人組は、今回の事件について「知らない」。他のマスコミも近付いてくると、おびえたように手をつなぎ合って、走り去った。

 学校帰りに遊びに来た目黒区の十四歳と十三歳の中学二年女子二人組は「自分がそういう目に遭ったら、パニックになって逃げられないかも」。二人は週に一度ぐらい、友達同士でプリクラやカラオケで遊ぶ。両親や塾の先生からは普段、「渋谷や新宿は危ない。変な人にはついていくな」と注意されている。「渋谷に行くなら保護者同伴で、とも言われてるけど」と言って笑った。

 ウインドーショッピング中の目黒区と新宿区の十三歳の中学二年女子三人組は「友人が一カ月ほど前、通学途中に外国人に手を引っ張られ、ホテルに引きずり込まれそうになった」と話した。友人は両親と一緒に警察に被害届を出したという。ニュースで事件を知った母親からは「今日は早く帰って来なさいと、強く言われた」と口をそろえ、駅に急いだ。

 母親と買い物に来た大田区の中学一年女子(12)は「渋谷には興味ないし、友達に行こうと誘われたこともない」。母親(45)は「まだ繁華街に関心がなく、安心。服装が乱れると変な方向にいくから気を付けている」。事件については驚いた表情で「友達と一緒だから安心したのでしょうか」。

 母親と、宿泊学習の準備のための買い物に来た世田谷区の中学二年女子(13)は「普段、遊ぶのは家の近く」。母親(40)は「危ないから友達同士では絶対に渋谷などには行かせない。厳し過ぎるかもしれないが、そういう親の態度も必要では」。

 目黒区の高校一年女子(15)はほぼ毎日、渋谷に遊びに来るという。男性に声を掛けられても、怖そうな人だったら立ち止まらずに「シカト(無視)する」。「小学生だから、ついていけば危ないってことが分からなかったんだと思う」と話した。

 文・石井敬、林容史/写真・嶋邦夫

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