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2003年07月17日(木) 03時09分

ヒ素問題の茨城・神栖町、「毒ガス扱う班」存在の証言読売新聞

 茨城県神栖町の井戸水から旧日本軍の毒ガス兵器に由来するとみられる高濃度の有機ヒ素化合物が検出された問題で、群馬県に住む旧日本軍関係者の男性(85)が、「現場付近に終戦間際、毒ガスを扱う部隊がいた」と茨城県に情報提供していたことが16日わかった。

 現在の神栖町の区域内で旧日本軍の毒ガス兵器に関する具体的な情報が寄せられたのは初めて。

 ヒ素被害の原因解明につながる可能性もあるとして、県は同日、この男性のもとに職員を派遣して詳しく話を聞くとともに、「終戦時の状況について、ほかの旧軍関係者からも情報提供をお願いしたい」と呼びかけている。

 県によると、この男性は1945年(昭和20年)6月に召集され、現在の神栖町付近で米軍の上陸に備えていた部隊に配属された。その際、高濃度の有機ヒ素化合物が検出された現在の同町木崎地区に、15—20人規模の「ガス班」と呼ばれる部隊がいたという。

 当時、現地にはいくつもの沼が点在しており、終戦を迎えた旧日本軍はこうした沼に砲弾や武器を遺棄した。男性によると、「ガス班」も、毒ガス兵器を沼や土中に埋めた可能性が高いという。

 防衛庁に残る記録によると、現在の神栖町周辺には終戦当時、神の池海軍航空隊(神雷部隊)、内閣中央航空研究所鹿島実験場、独立混成第115旅団が置かれていた。

 神栖町や神奈川県で毒ガスや生成物による被害が相次いだことを受け、環境省は先月24日、都道府県に全国的な毒ガス実態調査への協力を依頼した。

 旧日本軍が保有していた毒ガスの処理などについては、1973年に政府がまとめた報告書があるが、同報告書には神栖町に関する記載がない。北海道・屈斜路湖では戦後50年たって、「毒ガスをこっそり遺棄していた」という証言が出るなど、同報告書の不備が明らかになってきている。

 環境省の全国調査では、毒ガス弾などが埋まっている場所がないかどうか、報告書の記載内容を追跡するとともに、旧軍関係者などの証言を新たに掘り起こす。各都道府県に来月下旬までの報告を求めている。終戦当時の実情を知る関係者は高齢化が進み、環境省も「これが最後のチャンスかも知れない」と、広く協力を呼びかけている。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030717-00000201-yom-soci