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2003年04月25日(金) 00時00分

「史上最も凶悪な犯罪者」 松本被告に死刑求刑読売新聞

オウム裁判論告 「支配欲が動機」
松本智津夫被告

 地下鉄、松本両サリン、坂本堤弁護士一家殺害など13事件で、殺人罪などに問われたオウム真理教の麻原彰晃こと松本智津夫被告(48)の論告求刑公判は24日午後も、東京地裁(小川正持裁判長)で続いた。検察側は論告で「被告はわが国犯罪史上最も凶悪な犯罪者と言うしかない」と断じ、松本被告に死刑を求刑した。一連の教団事件で、死刑求刑は13人目。弁護側は10月30、31日に最終弁論を行い、判決は来年3月ごろまでに言い渡される見通し。 松本被告はいずれの事件にも直接的には関与しておらず、7年にわたる公判では、共犯の信者らに犯行を指示したかどうかが争点となってきた。

 これについて、検察側は論告の中で、松本被告が地下鉄サリン事件の2日前、「リムジン車内で、元幹部に『おまえ、総指揮でやれ』と言った」との共犯者の法廷証言を重視。証言者の心理状態まで検証し、「信用性が高い」と指摘した。他の事件でも、複数の共犯者の供述内容を細部まで詰めた上、「松本被告は各犯行すべてについての首謀者」と結論づけた。

 松本被告の犯行の動機について、論告は、教団が勢力を拡大する中で、同被告が1990年の衆院選に出馬し、惨敗した事実に着目。一連の事件は、松本被告が「自分を絶対的支配者とするオウム国家を建設しようとした」過程で起きたと分析した。

 弁護側の「被告の目的はすべての衆生の救済にあった」との主張に対しては、「被告は自分の権威の拡大や神格化のために宗教を利用したもので、この権威は欺まんに満ちた砂上の楼閣だった」とし、「動機に宗教性はなく、自分の権勢欲、支配欲を満足させるために、犯行を教団幹部に指示した」と断じた。

 その上で、検察側は、死者計19人を出した地下鉄、松本両サリン事件は「国民に永久に消し去ることのできない強烈な衝撃と恐怖を植え付けた」と指摘。親子3人が殺害された坂本弁護士事件についても「司法秩序の根幹を揺るがしかねない許されない犯行」と述べ、「13事件の被害は極めて重大」だとした。

 一方、論告は、松本被告が公判で「弟子たちが勝手にやった」と犯行の大半を否認し、証言台に立った元幹部を「地獄に落ちるぞ」と脅したことについて、「露骨な証言妨害で、法廷態度は最悪で見苦しい」と厳しく批判。松本被告が謝罪どころか、被告人質問で黙秘したことにも言及し、「被害者や遺族の感情を逆なでするもので、遺族らが強く極刑を求めるのは至極当然だ」とした。

サリン 第二次大戦直前にナチスが開発した有機リン系の猛毒ガス。皮膚からも人の体内に入り、呼吸筋や心機能をまひさせる。毒性は青酸ガスの約20倍とされ、致死量は体重60キロの人で約0・6ミリ・グラム。常温では無色無臭の液体だが、揮発しやすい。

http://www.yomiuri.co.jp/features/kyouso/200304/ky20030425_01.htm