「高野山の永代供養権」うたい11億円集金 強制捜査へ

 死後の供養を寺院側に請け負ってもらう「永代供養権」の販売をうたい文句に、元金の保証を約束したうえで代金を集めたとして、大阪府警生活経済課は27日、「高野山釈尊(しゃくそん)会」(東京都台東区、葉山敏夫総裁)の強制捜査に乗り出す方針を決めた。28日にも出資法違反(預かり金の禁止)容疑で、会事務所など十数カ所を家宅捜索する。府警は、実際には供養権はないのに、約2600人から総額約11億円を集めた疑いがあるとみている。同会の事業を巡っては、名古屋市に営業拠点を置く関係会社の「ハートランド計画」(山口県下関市)にも出資法違反の疑いが持たれており、府警は愛知県警と連携して実態解明を急ぐ。
 調べでは、高野山釈尊会は今年2月中旬から6月上旬までの間、大阪市内の主婦(57)ら10人に対し、高野山・持明院(和歌山県高野町)の仏舎利宝塔内に納骨などができる永代供養権を購入するよう勧誘。金融再生委員会から営業免許を取得していないのに、解約時に元金を返還することを約束したうえで、1口から数口を販売し、計17回にわたって計735万円を銀行口座に振り込ませて預かった疑い。

 同会は1994年に霊園開発などを目的に設立された株式会社。インターネット上に開設したホームページで、「民法で元金は完全保証」「2人紹介すると32万円の振り込みあり」などとうたい、1口35万円で希望者を募っていたという。府警は、紹介料を実際に支払って顧客を信用させたうえで購入者の仲介を促す「ネズミ講まがい」の疑いがあるとみている。

 府警などによると、同会側は持明院の永代供養権を得たと主張。しかし、供養権の所有を巡る民事訴訟で、94年に供養権は持明院に帰属することが確認されたという。同院側は「釈尊会とは一切、つながりがない」としている。(01:43)

朝日新聞1999年9月28日より