From: ogata@etl.go.jp (Ichiro Ogata) Newsgroups: fj.living Subject: [FAQ] [AMWAY] bonus of Amway (multi level business) Date: 19 Aug 1997 15:33:02 GMT Organization: Electrotechnical Lab. Lines: 171 Distribution: fj Message-ID: <5tcebe$kv3@etlinn.etl.go.jp> NNTP-Posting-Host: etlcom.etl.go.jp こんにちは、小方です。 *非営利でかつ改変を加えなければ再配布/転載を許可します* アムウェイのボーナス制度について簡単に考察し、なぜアムウェイが連鎖販売 業であるのかを説明しましょう。 さて、アムウェイには3種類ものボーナスがあります。どれも何らかの意味で 「子」の販売総量に関連して得られる利益です。もっとも額が大きく理解し易 いのは、子供の単純な販売総計に応じて配られる「成績別ボーナス」( 1st ボーナス)で、これが distributor 価格の 21% がすでに「搾取」されていま す。さらに、大きな販売量を上げる子供組織を独立させた場合に与えられる 4% の 「独立ボーナス」(2nd ボーナス)があります。この他に 3rd ボーナ ス 3.75% というのがあるらしいですが、パンフレットには明解な記載があり ません。 つまり、 distributor 価格には、すでにその distributor 価格の 21 + 4 + 3.75 = 28.75% ものボーナスの原資が含まれている(予め搾取されている)の です。さて、このボーナスがどう分配されるのか見てみましょう。 1) Amway のボーナス制度のネズミ講的性格 まず、 Amway のボーナス制度の成績ボーナスを見てみましょう。成績とは、 自分の子孫の販売実績の単純な総計をいい、これはピラミッド状に積み上がる ものです。 成績別ボーナス・スケジュール表(一ヶ月あたり) 150万PV以上 21% 100万PV〜 18% 60万PV〜 15% 36万PV〜 12% 18万PV〜 9% 9万PV〜 6% 3万PV〜 3% 0 PV〜 0% アムウェイでは、成績ボーナスの「%」 は、子の成績ボーナスのレベルの「%」 を引いた残りが親のボーナスとなります。上記のスケジュールにより、基本的 には親子関係一段につき 3% のボーナスレベル差があると考えて良さそうです。 つまり、各レベルに 3% ずつ「公平に」ボーナスが分配されるのが標準的な姿 としましょう。 さて、これは本当に「公平」でしょうか?組織を以下の単純な 4 段階ピラミッ ドと考えます。 子 18万PV [孫 9万PV 孫 9万PV] (ひ孫 3万PV ひ孫 3万PV ひ孫 3万PV) (ひ孫 3万PV ひ孫 3万PV ひ孫 3万PV) この上に、親がいて、以上のような構造を持つ子を二人持つものとします。つ まり、親 は 36 万PV です。 簡単のため、親と子、孫のレベルでの販売実績は 0 としてしまっています。 いずれにせよ、一人で 3万PV 売るなど、それだけでまぁまぁの努力ですが、 それすら 36万PV や 18 万PVから見れば、誤差のようなものだからです。 さて、アムウェイの成績ボーナスは、子の成績ボーナスを引いた残りが親のボー ナスとなりますが、そんなものは「公平」とはほど遠いのです。実際に計算し てみましょう。この状態なら親は 12 - 9 = 3%、子は 9 - 6 = 3 %, 孫は 6 - 3% 、そして「ひ孫」は 3% のボーナスを手にします。計算してみると、 (上部組織合計 36万PVの 25 - 12 = 13% = 4.68 万PV) 親 * 1 36万PV の 3% = 1.08万PV * 1 = 1.08 万PV 子 * 2 18万PV の 3% = 0.54万PV * 2 = 1.08 万PV 孫 * 4 9万PV の 3% = 0.27万PV * 4 = 1.08 万PV ひ孫 * 12 3万PV の 3% = 0.09万PV * 12 = 1.08 万PV という獲得 PV に比例したボーナス配分を受けるわけです。言い換えれば、親 や子や孫は、自分では何もしていないも同然なのに、実際に働いているひ孫の 12倍 や 6 倍や 3倍 ものボーナスが受けとれるわけです。しかも distributor の収入源はボーナスしかないのです。 しかもしかも、その上、この親は上部組織に 4.68万PV にも達する「貢ぎ物」 をしている点にも注目しましょう。このレベルの親でさえ、貢ぎ物の方が多い ぐらいなのです。このように、 Amway は組織の上部にいる人間に極めて有利 な制度なのです。また、組織の上部になるためには、子供の勧誘以外の方法は ないのです。ここが、 Amway が連鎖販売業たる証拠です。 2)ある期間に限れば、親子で「収入の逆転」は起こり得る。 しかし、これが親子関係を変えるわけではない。連鎖販売業であることにかわ りはありません。 例えば、ある親のふたりの子供の売上が 3 万 PV で、親に販売がなければ、 親の売上は 6 万 PV です。つまり、親子共、ボーナスレベルは 3% となりま す。したがって子供のボーナスは 3 万 PV の 3%、 親のボーナスは 6 万 PV の (3 - 3) = 0% となり、その期間に限れば「収入の逆転」が起こり得ます。 ※ 親が「受けとり損なった」ボーナスは、上部の 9% 以上ボーナスレベルの 先祖が受けとっていることに注意。 しかし、仮に次の期間に、このふたりの子供が 5 万 PV を稼げば、親の売上 は 10 万 PV となり 6% のボーナスレベルに進み、 10 万 PV の (6 - 3) = 3 % のボーナスが復活してしまうのです。しかも、これは、先の期間の子供の収 入の 3 倍以上なのです。 ※ 子供の勧誘、また子供に孫を勧誘させることは、販売よりずーっと大事な 「仕事」、 Amway のネズミ講的な性格が、ここでも理解できます。 Amway では、どんなに販売実績をあげても「親子関係」が変わるわけがない のです。その意味で、 Amway はネズミ講なのです。一般の「健全な」販売会 社では、個人の力で莫大な販売実績を上げれば、組織内での地位が上がるのが 普通だと思います。組織内での地位が、勧誘時点で完全に固定された仕組みと は、この点で全く異なります。 3) 商品の横流しはなくならない。 さて、「ステップ」のような Amway 商品の安売り店は、販売実績を作るため に横流しをする distributor から商品を仕入れています。 実際、次のレベルに進んで子孫の総売上 PV の +3% を手にするためなら、多 少の赤字はまったく問題にならないでしょう。上記の「収入の逆転」が起こり そうな親なら、当然、それをやるでしょうね。また、 Direct Distributor ク ラスの人は、4% の 2nd ボーナスを手に入れるために、自分の直接の子供を 21% に到達させるために協力して販売実績を作るという方法も考えられます。 ただ、 Amway のネズミ講的性格上、商品の横流しにより販売実績を作ること 自体には、ほとんど何の意味もありません。上記の 36万PV の親が次の 60 万 PV のレベルに達するためには、子孫の販売努力が不可欠なのです。いや、子 孫の販売努力も、子孫のさらなる子孫作りの努力の前には何の意味もありませ ん。 ですから、これは、一時的な販売実績の伸びから、一時的にボーナスを増やす ための方法に過ぎないわけです。 ※ ここでも、個人の販売実績にはさほど意味がない、という Amway のネズミ 講的な性格を理解できます。 Amway がかろうじてまともに見える部分は、商品を売ることで最下位のもの でも儲けが保証されているように見えることです。ただし、この儲けは、かな り割高な商品販売のマージンという形のものです。友達/知り合いに市価より かなり割高な商品を買わせることで、自分への信頼を壊すことになる、あまり 褒められたものではない儲けを得ているに過ぎないのです。 しかし、もっと大事なことは、販売努力だけでは決して儲からないという事実 です。これは、どんなに耳に心地よい言葉で誤魔化しても、誤魔化しきれるも のではありません。実際、Amway の distributor が良く口にする、 アムウェイはネットワークビジネスです。鍋を売ってるだけではいつまでたっ てもネットワークができません。子供を作らなくては、ただの1個売ってな んぼのワリが合わないセールスマンからは抜け出せません。 というような言動は、これを明確に物語っています。 繰り返します。 Amway ビジネスでは、販売はほとんど重要な作業ではないの です。子供を作り、子供がさらに子供を作ることが、 Amway ビジネスの本質 であり、これは Amway 自身も「ネットワーク・ビジネス」(本当はピラミッ ド・ビジネス (^^; )という言葉で表現していることでもあります。 そして、子供になる時に、アム鍋の一個 = 68,000 PV ほどでも買ってくれれ ば、それで良いのです。その子供は、孫に 68,000 PV の鍋を売りつける努力 をすれば良い。子供が継続的に孫作り(もちろん、孫にすると同時に鍋も売る) に励んでくれれば、親は左ウチワというわけです。 ※ もちろん、指数関数的に子供が増えていけば、という仮定での話ですけど ね。。。 どうですか?僕には、これがまともなビジネスだとは、到底思えません。商品 そのものは平凡な性能であり、そのくせ価格競争力がまったくないことも、こ のビジネスがまともでないと感じるひとつの原因です。 少なくとも、こんな( distributor 価格ですら)かなり割高な商品を友人/知 人に勧める気にはどうしてもなれない。そんなものは、裏切りだし、長年築い てきた人間関係の切り売りに過ぎない。しかも、その不当な儲けは「上部」の 人間に利用されるだけなんです。 小方@電総研