ぽこ さんからのお便り

先日、ネットで知り合った女の子の「絶対ためになるから」の誘いに乗って、のこのこと、ある「説明会」に赴いたのです。

実際、その誘いに乗るまで、私は彼女のことを「前向きで明るく一生懸命で健気」だと感じており(今思えばそれも伏線か)、断るよりは、半信半疑でも彼女のことを信じてやりたい気持ちが強かったのです。正直、「もしかしてヤバイ?」の気持ちはありましたが。

『日本エコス(株)、新プログラム案内』。

会場は「笹川記念館」。競艇のアレです。競艇という時点で、「んー」という疑問が「やはり」という感じで膨らみました。1000円で昼食のお弁当券を購入させられます。後で出てきたお弁当はいいとこ560円でした(ショックで半分残した)。偉いさんらしいのは「本当は1300円だけど会社が300円を持つ」と言い張っていてさらにブルー4割増し。

会長は森下。みんな神様のように崇めてましたが、胡散臭さ爆発中。やたらと偉い人(小渕だ、どこそこの社長だ)の名前を口に出し、その「権威主義」にやや食傷。森下は自分がいかに苦労人かということと、どれだけ慎重にビジネスを運んでいるかということを言うに留まり、あとは他の人間が「森下」を持ち上げまくるパターン。その度に森下、恐縮。完全デキレース。

ここでいよいよ商品登場。どうやら「人間の血は汚れてる」らしい。そこで森下は「ライブ・ブラッド・アナライシス」なるものを使用し、実際の血を見たそうだ。いわく「うん、すっごく汚れてる」→あぁ・・・そうですか。

そこで「予防医学」ならぬ「予防自学」を提唱する森下は、「血が綺麗になる食品(医薬品ではない)(製法特許はとっているらしいが、商品の特許は取っていない)」を取り出す。これには「血液を30分で綺麗にする酵素」が入っているから「買え」と。→いやぁ、嘘でしょ、それ。

その後は実際の医者(あんた捕まるよ)が出てきて、血液についての講釈。大阪市立医大のひと三ノ宮先生、と紹介されていたが、事実その学校は卒業しているものの、本当は単なる雇われ医院長。ひとくさり女の子にショックを与えそうな「血の汚れがアトピー!」をしつこく語り、「じゃ本買ってね」と。本はこれまた「一般市販なし」、どうやって値段を決めたか分からないけど1300円のところ特別に1000円。おい、みんな、ありがたがるな!やっぱエリートすぎて現状の自分が我慢できないのかな、三ノ宮先生は。

その後登場の浅川氏は喋りのプロ。しかしただのプロではない、ホンモノのプロフェッショナル。小気味良い笑いを絡ませ、人間は「明るく、朗らかに、活発に」とお説法。みんなうなづく。森下が「巨悪」なら彼は「小悪党」といったところ。IQは高そう。ちなみにみんなが買っていた本は、浅川と三ノ宮の共著らしい。なぜ共著・・・。

とどめは森下が尊敬しているという「篠原」氏。ヤツが一番やばかった。「久々に会ってありがたいお話をしてくださる!」と森下が言うが、どう見ても共犯。「久々」の臭いゼロ。「本物の人間(森下)と本物の商品(酵素食品)がめぐりあった」「みんな、この商品と出会えて嬉しいか・・・返事が小さいもう一度!」「みんな、この商品が欲しいだろ!・・・返事が小さい」「日本一の富豪になりたいか!・・・ほら、返事はタダだぞ!」・・・あぁ、私はこんな時、どうすればいいの・・・。

ビジネス形態としては、最初にそういう商品を自分で40万円くらい出して買って、他人に紹介するたび大体8万円くらいのお金が貰える算段。

ところで、私の左隣のひとは成績が良いらしく、「どうやって人をみつけてるの」と仲間に聞かれ、「お見合いパーティー、ネットの出会いサイト、テレクラおよびその伝言」と答えていました。

あなたの隣にも彼女たちはいる!

でもね、みんな信じてるんです。信じて、「こんな良い物を他の人にも紹介したい」の一心で勧めてくれるのです。だって、みんな「明るく、朗らか、活発(ビジネスなのに厳しさはない)」なんだもん。「良かった、また一人知ってくれて救われた」って心底思ってる。間違っても「引っ掛かりやがった」なんて思ってない(嘘、思ってるかも)。

どうやら私は関わってはいけないものと関わってしまったようです。

ネットで知り合った子は、確かに「明るく朗らか活発」です。この方向性が人間の良い方向だとすれば、確かに彼女は成長したのかもしれません。人間的に。

しかし、私は願って止まないのです。いつか彼女の笑顔が「裏切りと絶望」で曇らないことを。

この日は、「ひと」が「ひと」らしく生きる意味について、深く考えさせられました。お金じゃないって思いたい・・・。

宗教やカルトにはまる人は、表面的には「明るく、朗らか、活発」な気がします。純真だから、騙されるんでしょう。

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