家庭という学校
(家庭は学校)
教育は学校でするもの、と考えている人が少なくありませんが、大変な考え違いです。
学校だけで教育をするのではありません。学校だけが学校ではありません。
それどころか、子供にとって、最も大切なことを学ぶのは、家庭という学校です。
生まれるとすぐ入学し、15・6年は在籍する、最初の、学校です。
学校ですから、先生がいます。必要です。お母さん先生とお父さん先生。
お父さんは非常勤、パートの先生であることが多く、家庭という学校はお母さん中心です。
このごろ、この両先生に自覚が無く、心構えも無いことが少なくありません。
これでは、子供は生きていくのに身につけなくてはならないことを学ぶことが出来なくなります。
体だけ大きくなっていくという不幸なことが起こります。現に今、問題を起こしている、心を失った子供、青少年の多くは、家庭学校で教えるべき事を教えなかった結果であるといってもよいでしょう。
子供は被害者ですが、それをどこへも訴えることが出来ません。哀れです。
しっかりした家庭学校を作ることは親にとっての責任です。
そういうことをわきまえない家庭という学校が、どんどん増えています。
親たち自身、兄弟が少なく、子供のことを知らないで大きくなった人たちです。
子供のことをよく知らないで、家庭学校の先生になるのですから、大変です。
(かつては胎教がありました。母になる人に事前の心構えを教えたものですが、今はこの言葉すら知らない人がいます。)
とにかく、子供は家庭という学校で人間としての初めての歩みを始めます。
昔の人がいった、三つ児の魂も、ここではぐくまれるのです。
現代の教育においての最大の問題は、その崩壊しかけの家庭学校が急に増えてきたことです。
手をこまねいてみていられない事態というべきです。
全日本家庭教育研究会(全家研)の創設30周年に当たり、
外山先生が書かれたものです。非売品であるため、
皆様にも家庭教育を考える上で参考になるのでは、と思い掲載しました。
外山滋比古先生
大正12年1月3日 愛知県生まれ。
東京教育大学助教授、お茶の水大学教授を歴任
現在はお茶の水大学名誉教授
前 全日本家庭教育研究会総裁