2007年10月02日(火) 17時51分
府議が黒塗りできる領収書の「効果」(オーマイニュース)
今年6月15日に約3億4000万円の返還勧告が出た大阪府議の政務調査費に関して、10月1日に改正条例が施行され、10月1日支出分からすべての領収書、会計帳簿、活動記録簿、支出明細書、事務所・職員雇用状況報告書を議長に提出することになりました。
ところが、それら書類を議長に提出する前に、議員自ら黒塗り(マスキング)ことが「交付に関する規程」で定められています。
政務調査費についての他自治体での情報公開の方法は、議員は議長に黒塗りしていない書類を提出し、市民が情報公開条例に基づいて議長に閲覧・謄写を請求した場合に、情報公開条例に基づき、非開示情報に該当する部分のみを、議長が黒塗りします。
その黒塗りに対して、市民が疑問を感じた場合、たとえば非開示情報に当たらないにもかかわらず黒塗りされていた場合などには、不服申立や訴訟という救済措置があります。
しかしながら、この「大阪府議会方式」では、議長が持っている文書ははじめから黒塗りです。市民が情報公開条例に基づいて情報公開請求した場合、「黒塗りの文書を全面公開」することになり、救済措置がありません。
議員が「非開示情報に当たるかどうか」を個別に判断すると「大阪府議会方式」は、情報公開されたくないものについて黒塗り部分を増やしてしまうことにつながります。
大阪府議会事務局に問い合わせたところ、「領収書などは情報公開請求しなくても閲覧規程があり、議員から提出されたものを直接市民に見てもらうことができる」と説明がありましたが、このような説明はまやかしです。
同じく閲覧規程がある静岡市議会に問い合わせてみました。すると、議員は黒塗りされていない領収書等を議長に提出後、閲覧に供するの際は議長が情報公開条例に準じて一部非公開にするとのことです(静岡市条例10条)。一部非公開の部分に対しては、情報公開請求した上で取り消し訴訟や異議申立が可能です。
大阪市議会では2006年4月から5万円以上の領収書を議長に提出することにしましたが、情報公開請求して出てきた領収書は「どの名義に対して」「誰に」支払ったのかもわからないものでした。
大阪の「見張り番」は、これでは何に使われたかわからないとして、今年9月25日に、2006年4月から2007年4月まで支給された政務調査費のほぼ全額、約6億6000万円の返還を求める住民監査請求を起こしました。また、非公開部分を取り消すよう異議申立をしています。
情報公開条例に基づいて公開された大阪市議会ですら黒塗りだらけなのに、議員が「各自で」黒塗り部分を判断する大阪府議会では、大阪市以上の黒塗りになるおそれが極めて高いです。
大阪府議会の政務調査費は2008年3月に決算を行い、4月に議長に書類を提出し、市民が実際に閲覧可能になるのは2008年7月からだといいます。このような「大阪府議会方式」が全国に波及しないよう、大阪府議会に対して抗議の声をあげていきたいと思います。
(記者:内田 隆)
【関連記事】
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大阪府広報 2007年9月28日
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静岡市議会政務調査費の交付に関する条例
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静岡市議会政務調査費の交付に関する規則
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市民グループ「見張り番」
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全国市民オンブズマン連絡会議 政務調査費特設ページ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071002-00000005-omn-l27