電気ストーブから発生した化学物質で、めまいや頭痛などの症状を起こす「化学物質過敏症」になったとして、東京都内の男性(22)と両親が、ストーブを販売したイトーヨーカ堂(東京都)に1億円の賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(横尾和子裁判長)は1日、同社側の上告を退ける決定をした。
同社に約550万円の支払いを命じた2審・東京高裁判決が確定した。
問題となった電気ストーブは、同社が台湾メーカーの日本法人「燦坤(さんくん)日本電器」(同)から仕入れたもの。1、2審判決によると、男性は2001年1月、都内の店舗でストーブを購入したが、使い始めて約1か月半で手足のしびれや顔のマヒが起きるようになり、化学物質過敏症と診断され、後遺症が残った。
1審・東京地裁は、男性の症状とストーブから発生する化学物質との因果関係を認めず、請求を棄却したが、2審・東京高裁は、因果関係を認めた上で、「販売店には、販売を中止するなど、購入者に健康被害が生じないようにする義務があった」と判断。訴訟に補助参加していた燦坤日本電器が上告していた。イトーヨーカ堂は上告せず、2審判決後、問題のストーブの自主回収を行っている。