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2006年08月29日(火) 03時00分

投資配当“自転車操業”新規資金を分配…近未来通信読売新聞

 インターネットを利用したIP電話会社「近未来通信」(東京都中央区)が、「電話の利用料から配当する」とうたって一般投資家から事業資金を集めながら、実際には配当の大半を他の投資家の資金で賄っていたことが、関係者の話で分かった。

 配当のため新たに投資を募る手法を繰り返していたことになる。消費者問題に詳しい識者は、「投資が途絶えると、配当がストップする恐れもある」と指摘している。

 同社の説明などによると、同社は国内外に独自の中継局を設置し、他社の電話網とネットをつないで格安料金で通話サービスを提供。アパートの一室などに設ける中継局の通信用サーバーの設置費用を「オーナー」として募った投資家に出してもらい、オーナーには電話利用者が払う利用料から配当するとしている。契約上は、同社とオーナーの共同事業をうたっている。

 同社はオーナー募集の説明会で、「配当額は月平均約60万円」とする資料を配り、「3年で投資を回収でき、通話サービスが続く限り収入が保証される」と説明、オーナーから加盟金と設備費の名目で1口約1100万〜2200万円を集めている。

 しかし、関係者によると、同社の売上高の大半は、オーナーが出した加盟金と設備費で占められているという。このため配当は、新しく募ったオーナーの資金を充てていることになる。

 また、近未来通信は説明会で「音声の品質が高いイスラエルの通信会社の技術を採用している」と宣伝していたが、この通信会社は読売新聞の電話取材に「近未来通信との取引はない」と回答している。

 近未来通信は1997年設立で、資本金は約6500万円。売上高は2005年7月期181億円、06年7月期245億円。女子プロゴルフツアーのスポンサーも務めている。

 全国紙や週刊誌に広告を出し、全国各地で頻繁に説明会を開いてオーナーを募集。オーナーは約600人と説明しているが、電話利用者の実数などは公表していない。

 消費者問題に詳しい「悪徳商法被害者対策委員会」の堺次夫会長は、「近未来通信のやり方は、顧客が少ないのに『商品は売れる』と独占販売権を与えて投資を募った商法に似ている。IT分野は仕組みが複雑なだけに、安易な投資は危険だ」と警告している。

 これに対し、近未来通信は「オーナーには電話の利用料から(配当を)還元している」と反論している。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060829it01.htm