ためになる雑学シリーズ

テンテコ米

 日本人の主食と言えば米ですが、現在の様に白米を食べるようになった歴史は浅く、江戸時代以降と言われています。それ以前は、胚芽やぬかのついた「玄米」と言う黒っぽい米を食べていました。玄米は、白米に比べて味や消化率は劣りますが、栄養分に富み、特にビタミン類が豊富に含まれています。そして、玄米に含まれるビタミンが不足して起こる病気が、「脚気(かっけ)」です。この病気は、「江戸わずらい」とも呼ばれ、長らく原因は不明とされていました。と言うのも、「ビタミン」と言う概念が、世界中どこにも無かったからです。

 時代は流れて 1910年、東京帝国大学農学部の教授であった鈴木梅太郎が、米ぬかの中に脚気防止に有効な成分が含まれていることを発見しました。そして、それを抽出して「オリザニン」と名づけたのですが、世界的な大発見にも関わらず、その発見は日本の医学界から無視されてしまいました。ビタミンと言う名は、1年後に同一の物質を発見したポーランド人のカシミール・フンクの命名によります。この「ビタミン」の発見により、脚気は次第に姿を消していきました。

 さて、脚気の症状としては、足のむくみやしびれ・痛みなどがありますが、診断はどの様にするのでしょうか?一番簡単な方法は、ひざの皿のちょっと下を軽く叩き、「けん反射」を見ることです(図1)。脚気にかかると、この「けん反射」が起こらなくなります。ところで、この診断方法、何かに似ていると思いませんでしたでしょうか?そう、子供のおもちゃである「テンテコ(太鼓が鳴る様子から命名)」に似ています(図2)。この事から、脚気になることを「テンテコが鳴らなくなる」などと呼ばれるようにもなってきました。また、日本では戦後の食糧難で、脚気に増える子供が多くいました。そんな時、子供に玄米を食べさせるために、「テンテコ鳴らなきゃ、テンテコ米(玄米のこと)」などと歌って、食べさせることも良く行われていたようです。

参考リンク

玄米
脚気はかくれた現代病
脚気
ビタミン物語


元々の画像を、むしばきんさんがアニメーションGIFにしてくださいました。ありがとうございます。






(注)3段目の途中からは、ウソです。
(注2)図2のものが、テンテコと言うものなのかどうかは知りません。